【東方MMD】東方共産録フランの章1

1
フランドール・スカーレットが、レミリア・スカーレットの手によって紅魔館の地下室へ幽閉されてから、早くも1年が経過しようとしていた。紅魔館の地下室では、フラン、やる夫、やらない夫が机を囲んでいた。

2
「……ねえ、やる夫。私は外に出るべきなのかしら」
フランの能力は、あらゆるものを破壊することができる。フランが甘んじて幽閉されているのは、出られないからではなく、出たくないからなのだ。

3
「やる夫は、外に出て遊びたいお」
一人称がやる夫のやる夫は、純粋無垢に答える。やる夫は、動物的な衝動に従って生きることに疑問を持たない、幸せな知的生命体なのだ。

4
「そう。そんな認知形成を持つ知的生命体も、それなりの数居るのでしょうね。羨ましいわ」
フランが、自身の神経発達は社会に適応するのには適していないのだと思い悩んでいるところに、やらない夫が口を挟んできた。

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「フラン、確かにお前は神経発達障害者だ。社会に適応することに困難を抱えている知的生命体だ。だが、ニーチェ曰く、そもそもこの世界は病んでいるのだから、この世界への社会的適応を試み過ぎることはフラン自身にとっても、この世界にとっても、不幸な事態を引き起こしかねない」
やらない夫は、19世紀の社会に浸透する価値観を批評したニーチェ哲学を土台とし、社会が要請する神経発達へと至らなかった知的生命体が無理して適応を試み過ぎるのは良くないと述べた。

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「やらない夫、難し過ぎるお。やる夫にはさっぱり理解できないお」
やる夫がやらない夫の発言を理解することができないことに思い悩むが、やらない夫はそれで良いと思った。

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「お前はそれで良いんだ、やる夫。その方が幸せに生きられる。我々のようにならないことは、寧ろ幸運なことなのだよ。社会の空気に疑問を抱かず、全体主義に染まって生きていけるのならば、それが一番、認知負荷が軽くてコスパの良い生き方だ」

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やらない夫は、やる夫を見下してはいない。見下すべきではないと考えている。神経発達の多様性を研究し、最適な社会の要件定義と、設計と、構築と、保守と、運用を行う必要があると考えているだけなのだ。

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「……私にとって適切な社会を作らなければならない。それが、私のやるべきこと」
フランは自身のイデオロギーを確立させつつある。

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「良いんじゃないか。それで」
やらない夫は、何の気無しにそう返答する。

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「フランちゃんは何がしたいのかお?」
やる夫がクリティカルな質問をぶつける。フランは答えに窮する。
「分からないわ。今は、とりあえず……」

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フランは間に合わせの答えを用意する。
「解決する意義のある、面白い問題を探してみるわ」

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